耐震診断のis値とは何の指標?意味や重要性について紹介
震度6~7程度を想定した診断結果
耐震診断のis値とは、旧耐震基準によって建築された建物の耐震性能を示す指標です。震度6~7の大地震を想定した診断結果として用いられます。
新耐震基準では、建築物が一定以上の保有水平耐力を有することを規定しています。しかし、旧耐震基準によって建設された建物は、新耐震基準と同じ指標を用いた耐震性能の判断が困難です。そこで旧耐震基準によって建設された建物は、建物に関するさまざまな要素からis値を算出して、耐震性能を判断します。
数値が大きいほど耐震性能が高い
is値は数値が大きいほど、耐震性能が高い状態を表します。is値が0.3未満という数値の場合、大地震による倒壊または崩壊リスクが非常に高いです。0.3以上0.6未満は最も危険な状態とはいわないものの、リスクが存在していることを意味します。
is値が0.6以上であれば、リスクが低いという評価です。is値を確認する際は、0.6以上が目安になります。なお文部科学省は、公立学校施設のis値としておおむね0.7超を求めています。
多様な観点の結果を総合的に提示
is値の算出には、建物の強度および靱性を表す指標・建物の形状や壁のバランス・経年劣化を表わす指標などが必要です。すなわちis値は、建物の耐震性能に関係するさまざまな要素を総合的に提示した結果といえます。
is値の計算に必要な指標のうち、どれかが著しく低い数値では、高い数値は得られません。大地震にも耐えうるような建物であるには、あらゆる要素において高いレベルが必要です。多様な観点の結果を総合的に提示するis値は、耐震性の判断に有用といえるでしょう。